漢方のご案内

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漢方治療について

私は、開業して2年後から漢方の勉強をはじめ、20年以上になります。
それまでは、大学などで習って来た西洋医学が全てで、自信満々で「何でも治療してやる」、というような気持ちで毎日の診療に携わっていました。

外来では、風邪の患者さまが多く受診しますが、ほとんどは一般的な風邪の治療で改善しますが、まれに、中々治らない患者さまもいます。
抗生物質、喘息の薬などを処方してもほとんど治りません。
そのような患者さまでも漢方治療を行うと、改善されることが多々あります。

漢方治療と云うのは、西洋医学とは異なった理論の上に成り立つ学問で、というか自然現象を人間の体にも適応させて病態を説明し、治療を進めるものです。
ですから、漢方理論に則った診断をし、処方しないと作用がありません。

西洋医学は病名が同じであれば、プロレスラーでも虚弱体質の人でも薬は同じで投与量が異なるだけです。
しかし、漢方は基本的に使う薬が違ってきます。

漢方の言葉に「同病異治、異病同治」というのがありますが、この言葉は、西洋医学と漢方医学の違いを端的にあらわしています。
この言葉の意味は、「同じ病気でも異なった処方をし、また、異なった病気でも同じ処方をする。」という意味です。

漢方医学は、ある病気に対して薬があると言うような治療の仕方はしません。健康な人が寒い所で長時間仕事をしてかぜを引いた時、原因である寒さ(専門的には風寒といいます。)を体を温めて寒を出すことによって治療する。これは、体の中の正常の気が外の世界の寒さ・暑さ・乾燥・湿度(専門的には外邪といいます。)などによって障害されたとき病気になると考えます。

このような考えの下に病気の患者さまが来た時には、患者さまの状態を診断するのに大事なことは熱があるか(体温計で計って上がらない程度)・冷え(寒)があるかと言う事です。それによって使う薬が異なってきます。ですからそれをないがしろにして漢方薬を使うと副作用が出ます。

その他、表・裏・陰・陽・虚・実と先に述べました寒・熱の八つについて診断していく方法を八項弁証といいます。
また、病気の時間的経過について分析する六経弁証という診断方法もあります。さらに、気・血・水の三つの項目(体の機能を司る気、体の中の栄養素血・水)について診断していく気血水弁証という診断方法もあります。

これらの、診断方法を駆使して患者さまの病状を診断して治療ということになります。漢方医学では、診断がつけば治療は、足りない気・血・水を補うとこにより治療していきます。